シャトー・パルメ

シャトー・パルメの紹介

メドック格付け第1級のシャトー・マルゴーに匹敵するマルゴーワインと称されるのがこのシャトー・パルメ。

第1級と第2級シャトーの間の価格帯で取引されており、第3級格付けの中でも高く評価されているワインのひとつです。より評価の高い2級以下のワインは合わせて“スーパー・セカンド”と日本では呼ばれていますが、シャトー・パルメはその筆頭とも言うべき人気を誇るシャトーなのです。特徴的なパルメのシャトーは、周りの村よりも規模の小さなイッサン村の真ん中に位置し、ボルドーのワイン街道のすぐ脇に居を構えます。

メドックの中で特に女性的で優美なワインを生む銘醸地マルゴーはメドックの最南端に位置する地区です。ジロンド河の上流に位置する村で、畑は内陸寄りに点在しています。砂利質のベースの土壌に石灰質や粘土質の土壌が入り混じることで、味わいに陰影を与えています。村の広さに対して、ぶどう畑の面積は約2割程度と、小規模に収まっています。第1級シャトー・マルゴーをはじめとする著名なシャトーが点在しており、シャトーごとのテロワールの違いも興味深いアペラシオンです。

『ボルドー第3版』によるとパルメのワインはどの1級シャトーにも劣らない深みを持っていると称されており、1961年、1966年、1967年、1970年、1975年、1983年、1989年のヴィンテージでは、それらの多くを凌ぐ場合さえあるとさえ言われています。

出典：講談社『ボルドー第3版』

シャトー・パルメの歴史

シャトー・パルメの歴史は17世紀初頭まで遡ります。18世紀にはシャトー・ド・ガスクという名でワインが造られ、王侯貴族に珍重されていました。その後イギリス将官のチャールズ・パーマーがシャトーを取得し1814年『パルメ』という名を冠したと言われています。当時、ワイン好きな王として有名だったイギリス王ジョージ4世が、お気に入りのワインとして愛飲していたという逸話も残されているほど、国内外で愛されたワインでした。その後パーマー将軍が破産してしまったため、一時は銀行の管理下に置かれていた時期があり、そのため1855年の格付けの際には3級に甘んじることになってしまったパルメですが、本来の実力は1級に匹敵すると言われ続け、3級シャトーの中でも一目置かれる存在になっていきました。20世紀半ばから後半にかけて、マルゴー地区全体でクオリティが低迷していた時期もありましたが、そのような時代においてもシャトー・パルメは常に最上のワインを世に送り出してきました。